労災事故における安全配慮義務違反、過労死・
うつ病による自殺等の問題に対応いたします。
労災事故における安全配慮義務違反、過労死・うつ病による自殺等の問題に対応いたします。
労災保険制度は、業務上(業務災害)または通勤途上(通勤災害)の事故によって負った傷病を、労災保険給付の対象としています。
業務災害と認められるためには、業務遂行性が認められることを前提に業務起因性が認められることが必要となります。
業務遂行性とは、労働者が労働契約に基づき事業主の支配下にある状態をいいます。
業務起因性とは、業務が原因となって傷病等が発生したこと、言い換えれば、傷病等の結果が業務に内在する危険が具現化したものによると認められることをいいます。
通勤災害と認められるためには、労働者の通勤によって生じた傷病等と認められることが必要となります。
通勤によってとは、労働者の、住居と就業場所との往復、就業に関して就業場所から他の就業場所への移動等のうち、合理的な経路及び方法によるものをいいます。
労災事故によって労働者に生じた傷病等について、会社が民事上の損害賠償責任を負うべき事情がある場合には、労災保険の給付以外に、会社が労働者に対し損害賠償責任(不法行為責任・債務不履行責任)を負うことがあります。
労災保険による補償は、療養補償給付・休業補償給付・傷害補償給付等に限定されていることや、また、慰謝料(入通院慰謝料・後遺障害慰謝料)が支給されないこと、休業補償は60%のみ支給されること、後遺障害が認定されても将来の逸失利益の支給はないこと等、労災保険だけでは労働者が被った損害のすべてを補償するには不十分であることが理由になります。
労災事故に関して、会社が労働者に対して負う不法行為責任としては、①一般不法行為責任、②使用者責任、③工作物責任が考えられます。
労働者は、会社が、(ⅰ)労災事故・傷病等の発生について予見可能であったこと、(ⅱ)注意義務違反があったこと、(ⅲ)損害が発生したこと、(ⅳ)ⅰ・ⅱとⅲの間に相当因果関係があることを立証する必要があります。
労働者が、上司や同僚の故意・過失によって作業現場で労災事故に遭った場合や、職場でのパワハラなどで身体・精神上の損害を被った場合には、会社は、使用者責任によって損害賠償責任を負うリスクがあります。
会社が、労災事故が発生した作業現場等の工作物を占有している場合や、所有している場合に、当該工作物の瑕疵によって労働者に損害が生じたときには、会社は土地工作物責任によって損害賠償責任を負うリスクがあります。
会社は、判例上、労働契約上の信義則に基づき労働者の生命や健康を危険から保護するよう配慮する義務を負うとされ、また、労働契約法第5条でも「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」と規定されており、会社は労働契約に付随して安全配慮義務を負っています。
そのため、労災事故が発生した場合に、会社は、労働者に対し、安全配慮義務違反を理由に損害賠償責任を負うリスクがあります。
安全配慮義務の具体的内容は個々の事案によって異なってきますが、その安全配慮義務の内容を具体的に特定すること、その義務違反に該当する事実が存在することは、労働者側で主張・立証する必要があります。
過労死の労災認定基準について、厚生労働省は、以下の要件を策定しています。
次の①、②又は③の業務による明らかな過重負担を受けたことにより、脳・心臓疾患を発症した場合には労災として認定されるとしています。
うつ病等の精神障害による自殺が、業務上の死亡として労災認定されるかの基準として、厚生労働省は、以下の基準を示しています。
長時間・過重な労働の結果、過労死やうつ病による自殺といった結果が生じた事案において、労働者側が、会社に対し、安全配慮義務違反等を理由に損害賠償請求する場合には、「義務違反の内容」、「予見可能性」、「因果関係」等が争点となってきます。
過労死やうつ病による自殺といった事案において、会社が労働者を過労死等させないために負っている義務は、①適切な労働条件を措置すべき義務、②労働者の健康状態を把握して健康管理を行う義務、③労働者の症状に応じて健康保持のために配置転換等の適切な措置を行う義務、④適切な看護を行い適切な治療を受けさせる義務に分類できます。
過労死やうつ病による自殺といった事案における予見の対象は、脳・心臓疾患や精神障害などを発症する原因となる危険な状態、すなわち当該労働者の長時間労働や強い心理的負荷を生じさせる過重な労働への従事等といった事実になります。
労災保険給付における業務起因性は、相当因果関係に相当する概念とされているため、因果関係の判断においては労災認定基準が満たされているか否かが重視されています。そのため、脳・心臓疾患事案において、労災認定基準に照らして過重な労働に従事したものと認められる場合には、相当因果関係も認められる傾向にあります。
予見可能性や因果関係等が認められ、会社の損害賠償責任が肯定される場合であっても、過労死やうつ病による自殺といった結果が、労働者の基礎疾患が一因となっていたり、労働者の不摂生が一因となっている場合には、過失相殺により損害額が減額されることがあります。
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